欧州弾丸列車紀行

第2部 ローマの旧日


世界三大夜景の一つに数えられるナポリ

ドブロブニクまでの第1部を終え、船でバーリに上陸して第2部が
始まった。ポンペイとローマを立て続けに見たせいか、かつて存在
した大帝国の昔日の記憶の印象がことのほか強い。これから周る国
や地域にも、きっと彼らの痕跡がそこかしこに未だに残っているに
違いない。なので、弾丸紀行第2部のタイトルをそうしてみた。

 といっても、昔の旧跡のみを求めて旅している訳ではない。欧州
の旧きを訪ねて新しきを知る、もしくは普遍を知る。改めて、いつ
の時代でも人間は同じように考え、喜び、悲しむものだということ
を再確認している感じがする。旨いものを食い、美しいものを愛で、
人の一生の儚さを嘆く。特にポンペイの遺跡は凄かった。 何が?
二千年近い大昔に一つの地方都市がここまで大規模に文明の恩恵を
受けていたこと。2万人の住む計画的な街並み、巨石による舗装、
色彩豊かな壁画、大理石の床、妖艶な男女の交わり、神への祈り、
ブドウ栽培とワインの醸造等々、現代と同じ生活がそこにあった。

 これらの日常が一瞬にして熱い火砕流に飲み込まれて、5m以上
もの火山灰が降り積もりこの世から消えた。18世紀に発掘が始まる
まで千年以上もの間ずっと地中に埋もれ、その存在は知れなかった
という。市民が一瞬にして全員死んだので記録が全くなく、ある種
の伝説としてしか知られていなかったのだ。  ポンペイというか
ローマの教訓は決して過去の昔話などではなく、いまの我々の文明
にも共通するものがあるのかも知れない。 ひょっとして、ある日
突然何らかの自然界による報復を受けて現文明が消滅し、数千年、
数万年(もしくは数億年)後に、別の人類(或いは他の生命か異星
人)によって、昔の遺跡として観光がてら見られることになるかも
しれないのだから。そうなったら面白いと思うけどな。

 閑話休題、ポンペイもローマもあくまでおまけで、実はナポリを
訪れた真の目的は、世界三大夜景の一つと言われるナポリの夜景を
見るためであった。でも予想に反して、たいしたことはなかった。
個人的には、美しさという点で東京やNY、三大の他の函館や香港
のほうが遥かに上位だと思ってしまったのだが。 (ニースにて)

経 路

バーリ ナポリ  ポンペイ  ローマ   リミニ
         
 サンマリノ  ボローニャ ミラノ ジェノバ   ニース
         
 モナコ    マルセイユ   リヨン ナンシー メス  ルクセンブルク
         
フランクフルト  マンハイム  シュツッツガルト ニュルンベルク  ミュンヘン
         

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