欧州弾丸列車紀行
おまけ 栄光のファイナル・ラン
新しくなったマンハッタンのスカイライン |
スキーには「モーグル」という競技がある。日本語で言うと「コブ」 の事なのだが、オリンピックの種目になったことで、いつの間にか 定着したみたいだ。長野のオリンピックでダークホースの里谷が金 メダルを獲った一方、注目の上村は遂にメダルを取れずに現役を引 退してしまった。競技と一緒で、上手くタイミングに乗らないと、 なかなか成功できないのだろう。最近ではもうだいぶご無沙汰だが、 コブ滑りこそはスキーの醍醐味だった。急斜面を落ちていくと眼前 に巨大なコブが迫る。その間を上手くすり抜けたら、今度はそいつ を逆に利用、テールをコブにぶち当てて一瞬で方向転換する。考え る暇はない。膝を柔軟にして本能的に体が反応するのだ。視線は常 に先のコブを見ている。リズムやタイミングを外せば、凄い勢いで とんでもない方向に跳ばされてしまう。空中でとっさに態勢を直さ ないと、その後に待っているのは雪面との激突だけだ。 なんだか人生も同じ気がしてきた。 俺の進む方向には、何故か いつもでっかいコブが立ちはだかる。まるで誰かが故意に意地悪な トラップを仕掛けているかのように。だから「負けてたまるか」、 「逆に利用してやる」と、必死に切り抜けねばならない。視線は常 に次のコブを見据えて体が自然と対応している。時にはすり抜けず 正面突破。見事やっつけたら「ザマ〜!」なのだ。勿論とんでもない 方向にふっ跳ばされることも少なくないけど、跳ばされても態勢を 立て直して次を目指すのだ。 今回の旅も優雅なものとは程遠い、歯を食いしばっての時間の方 が遥かに長かった。でも、もしかしたら、だからこそ面白いのかも しれない。平らな緩斜面だけ滑ってたら多分すぐ飽きてしまうのが 人間の性。局所的に大きなコブが沢山あったが、跳ばされて木っ端 微塵になることなく、こうして生還できたのは、やっぱりトータル で見れば運が良かったんだ…、と思うことにしよう。 とりあえず無事生還に乾杯! |